【 Life Is Strange 】 ライフ・イズ・ストレンジ 新たなタイムリープものゲームの傑作 

フランスに居を構えるDONTNOD Entertainmentが開発、スクウェア・エニックス販売で昨年初頭に海外でエピソード形式(ep1~ep5)での配信でリリースされたこのゲーム。
(日本で売ってるPS4・PS3版はディスク版・DL版はエピソード全部入りバージョン)

写真を学ぶためにシドニーから故郷オレゴンの田舎にある高校に戻ってきた主人公マックスが、5年ぶりに再会した親友クロエに起こった惨事を突如として身についた時を巻き戻せる力によって回避。その不可思議な現象と彼女の通う高校で起こった女子高生の失踪事件とが絡みあうサスペンスフルな物語が展開していく。


発売後から物語そのものの好評価を色々なレビューで伝え聞いていたし、米PS storeで配信されていたPS4のデモ版を遊んでゲーム中にリアルタイムで巻き戻し出来るシステムが新鮮だったので早いところ遊びたかったのだが、いかんせん英語オンリーで私の学力が追い付かないので「面白そうだけど肝心の物語がわからんとな・・」と保留していたのだが、昨年末にめでたく日本語吹替されること、PC版に置いてもコンソール版発売と同時に無料アップデートが行われ同内容で遊べることが発表され、先月に晴れて日本語版が発売された。(スクウェア・エニックス作品のPC版の多くは日本語化ファイルを有料DLCで販売していたが、今年発売のタイトルからは追加料金のない良心的な対応に転換した模様。余談だが当方は今世紀版のトゥームレイダーで千円上乗せして日本語化DLCを買ってた口である)


という事でsteamのセール中に購入しておき日本語化されたタイミングで満を持してPC版を遊び始め、1つのエンディングを見るまで物語を終えたが、エピソード毎に海外ドラマ的な続きを期待させるフックが配置された洗練された話法、日本語吹替版の見事な演技、この作品に合ったフォトリアルより2、3歩外した質感表現と、とても美しいライティングが映える独特のグラフィック、適材適所なサウンドトラック(収録楽曲も豪華)、そして殆の選択結果を任意に巻き戻せる時間操作の面白さ、プレイヤーの選択の集積を見せつけてくるゲームならではの見事な終盤の演出、その結果たどり着く切なく胸を締め付けられる物語。と、どの点においても非常にハイレベルなゲームだった。

今作はタイムリープや失踪事件について娯楽としての大きな見せ場はもちろん盛り沢山なのだが、その下地に誰もが体験したり目にしてきた事も有るであろう学生時代の人間関係・上下関係、いじめやドラッグ、家族問題などの現実的かつ普遍的な問題や、写真学科ならではの実在する写真家の名前、マックスに好意を寄せるウォーレンくんがマックスにお勧めするボンクラな映画のラインナップ等々、端々に現実のネタを織り交ぜて今日性を感じさせる舞台を描き、それらにまつわる数々の選択をプレイヤーに重ねさせる事で主人公マックスの痛みを我が事のように共感できる様に丁寧に作られている。。それ故にエピソード後半は自分の選択した結果の重さに胸を締め付けられるエピソードも多く、モニターの前で目に涙を溜めながらプレイする事に。この感覚はプレイヤーに選択を迫るビデオゲームでしか味わえない感動だろう。


ここ数年でもタイムリープものの作品で面白かったのもは多く、ゲームでは「シュタインズ・ゲート」、アニメでは「魔法少女まどか☆マギカ」、映画ではちょっと古いが「バタフライ・エフェクト」あたりが思い出される所だ。こう書くと軽いネタバレになりそうだが、それらの中で今作と物語の表層が最も近いのは「魔法少女まどか☆マギカ」であろう。同作品が好きな人にはぜひ遊んで頂きたいとても面白いゲームだと思う。
暁美ほむらの気持ちを自分の事のように味わえること請け合いだ。

まどマギを例に上げるとそこまでヘビーなのかと身構える人もいるかと思うので、映画で言ったら「恋はデジャヴ」や「ミッドナイト・イン・パリ」が好きな人も楽しめるはず!といい加減なお勧めをして締めくくろう。
(お気楽さは桁違いだがミッドナイト・イン・パリの言いたい事とちょっと通ずるものは有るとは思っている)
それだけ全方位的にお勧めしたくなる良いゲームだったのだ。


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