アイアンスカイ

「アイアンスカイ」感想




ナチが月面に逃れて基地を作って生き延びていましたというトンデモ予告を作ってから金を集めて本編を完成にこぎつけた作り手の執念を感じる愛すべきアホSF映画。

最初に作られた予告

お話から察する通りB級映画なことは疑いの余地がないが、オープニングの宇宙空間をアメリカの探査船が浮遊→月面に着陸という一連の映像に安っぽさがないのにまず驚く。
着陸して早速探査船から「YES SHE CAN!」と書かれた垂れ幕広告が出て早々にニヤニヤしてしまい面白くなるぞという期待が膨らむ!
(大統領選挙のキャンペーンで黒人宇宙飛行士を飛ばしている。アメリカ大統領はサラ・ペイリンそっくりな女性になっている為WEじゃなくSHEにw)

ヒドいホワイトハウス内写真(右:大統領)

ナチを取っ掛かりに最後までアホ全開でアメリカの大統領選挙・人種問題から国連での国家間の牽制しあう姿を茶化したネタで笑わせ、映像は凝ってるけどすっとぼけたアクションで面白おかしく見せていく。
そのままの流れで「笑ったなー」で終わるかと思いきやオチで少しの問題提起を残し映画は終わる。
このオチはちょっとやられたというか映画を肯定したくなる力があった。


これらデリケートな話題をとことんギャグにしてしまい問題提起も含んでいる作風と言えば、現在公開中のサシャ・バロン・コーエン主演「ディクテーター」だが、独裁者ネタとナチネタで通ずるものがあるし、アメリカの傲慢さ告発ムービーとしても合わせて見たら面白い。


それは置いてアホ映画の視点からは、アイアンスカイに対してガンダムの富野由悠季監督が、SFがシリアスなものになってしまったが上等なものでなくアホだった頃の面白さを取り戻している。という旨の発言をアイアンスカイ監督との対談でしていて、昨年公開の「宇宙人ポール」のアメリカナイズされたエイリアンや、「プロメテウス」のアンドロイドのやんちゃが過ぎて全員死亡といい、無茶苦茶なんだけど無類に面白いこれらのSF映画も思い出さずにはいられなかった。

シリアス路線なSFも面白い作品が沢山あるが、
(アホな)夢があるSF映画も復権してきている兆しがあり嬉しい限りである。



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